写真家 西野壮平さんは、旅をテーマに膨大な数のフィルム写真をコラージュする作風で知られ、2021年 岡本太郎現代芸術賞入賞するなど、写真という枠を超えて国内外から評価され、今、最も注目されている写真家です。昨年、関西初の本格的な個展となる「線を編む」が尼崎市総合文化センターにて開催されました。写真を細かく切ってつなぎ合わせる手法は立体的で、自分がそこに立っている様な気持ちになりました。特に富士山と東海道は圧巻でした!
[PROFILE]
1982年兵庫県生まれ。大阪芸術大学写真学科を2004年に卒業、その後活動の拠点を静岡で制作活動を行っている。近年の主な展示に、2012年 OUT OF FOCUS: PHOTOGRAPHY (Saatchiギャラリー, ロンドン)、2013年A Different Kind of Order (The ICP トリエンナーレ,ニューヨーク)、2015年 NEW DIORAMAS (マイケルホッペンギャラリー, ロンドン) など。2016年秋にサンフランシスコ近代美術館にて個展が開催された。
[賞]
2020 第24回 岡本太郎現代芸術賞 入賞
2018 MAST Foundation Photography Grant
2017 第7期Prix Pictet賞”Space” ファイナリスト
2016 さがみはら写真新人奨励賞
2013 日本写真協会賞新人賞
Foam Talents Call 2013
2005 Canon写真新世紀 2005: 南條史生氏選優秀賞
2004 大阪芸術大学卒業制作展: 学長賞
(Sohei Nishino Official HPより抜粋)
2022年には、テレビ番組「情熱大陸」にて、富士山に登頂して撮影した作品の制作過程などが紹介されました。
今回、福井県で個展「Walk With Me」を開催中の西野さんに電話インタビューの機会をいただき、写真部員たちからの熱い質問に答えていただくことができました。
ー 人生の分岐点はいつですか
高校のとき、サッカーで活躍できず挫折して、これからどうしようかと思いました。よく三ノ宮に出て行きましたね。音楽が好きだったので、ギターを弾いたりミュージシャンと遊んだり流行りのレコードを買ったり。それから、絵を描きに出かけたり、神戸駅のデッサン教室に通ったりもしましたね。自分の思うようにならなくて、どうしたらいいか考えたとき、外に目を向けて、人と出会うことで、視野を広げることができたと思います。
ー 作品づくりで意識している「自分らしさ」とは何ですか、「自分ルール」はありますか
もともと人の意見を聞いて受け入れ、吸収したい性格なので、ルールは設けずにいます。撮影のときも、撮る・撮らないの線引きはせず、コラージュの作品には撮ったものすべてが入っています。頭で考えてイメージを固定するのではなく、考える前にキャッチするスタイルです。
ー 国際社会(海外で仕事する上)で必要なことは何ですか
海外で仕事をすること自体が目的になっている人が多いように思うんですけど、その先の目的を見ることの方が大切だと思うんです。国内でも海外でも一緒で、どうやって自己実現していくかとか、筋道を先まで立てることが大切かなと思います。
ー 私たちへ伝えたいメッセージをお願いします
現代に生きる我々の生活では、当たり前のようにインターネットでなんでも調べることができます。便利ではありますが、ただ質問の答えを全てインターネットの中に見出すことにぼくは少し抵抗があります。
ぼくの作品の中でメッセージとしていることですが、自分の歩いた道が作品の中に表現されていて、自分の目で見て身体で経験した時間が一つの地図になっているんです。つまりこの作品は我々が普段触れているGoogleMapではなく、ぼくが作った自分だけのマップなんですね。同じように皆さんそれぞれが自分の地図を持っているということなんです。ときにスマホを置いて歩いてみてほしいです。自分が何に目を向けるのか、どっちに向かうのか。感動して発見して判断する。それは本当に豊かな時間です。感じてもらいたいです、経験と体験が自分の地図を作り上げる面白さを。
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その他、「インスピレーションはいつ降ってくるの?」や「1日に何時間ぐらい写真を撮ってますか?」など、写真部員たちからは数々の質問が寄せられ、第一線で活躍される西野さんへの憧れが溢れ出していました。この度はご多忙の中インタビューにご対応いただきありがとうございました。今後のご活躍を心からお祈りいたします。
2023年1月28日(土)~3月5日(日)金津創作の森美術館 アートコア(福井県あわら市)にて、「アートドキュメント2022 西野壮平 写真展 Walk With Me」が開催中です。